
株式会社アシックス 2018年12月期連結決算【減収減益】
→2018年12月期連結
2019年2月13日、株式会社アシックス(7936)が2018年12月期連結決算を発表。売上高は減収、営業利益は減益、純損益は203億2700万円となりました。
決算資料をもとに、アシックスの現状と今後の展望についてまとめます。
以下は、決算説明資料より。
2018年12月期連結決算は減収減益。日本、米州、欧州での売り上げの減少により、前期比で3.4%の減収。減収に加え、直営店関連費用などの販管費の増加により、前年比で46.3%の減益。
第4四半期に国内外の保有資産を整理・再評価した結果、230億円の特別損失を計上。当期純損失は203億円となりました。
今回の決算内容で押さえておくべきポイントは、4つあると思います。
- 米州の減収減益
- ランニングシューズが低調
- のれん減損が響く
- 2019年12月期からカテゴリ再編
それぞれ順番に見ていきます。
❶ 米州の減収減益
減収減益の主な原因は、米州における売上の減少です。米州では前期比で13.5%も減収しています。一方で、中国は前期比で17.3%の増収となり好調でしたが、シェアが少ないため、日米欧の減収を補うほどではありません。
❷ ランニングシューズが低調
カテゴリ別に見ると、「ランニングシューズ」カテゴリの売上高は前期比で153億円減少(為替影響除く)し、減収の主な要因となっています。特に米州では減収が著しく、前期比で167億円もダウン。
一方で「ライフスタイル」カテゴリでは、好調な「オニツカタイガーシューズ」が、前期比77億円の増収に大きく寄与しています。
❸ のれん減損が響く
特別損失の大半を占めるのが、フィットネスキーパー社とホグロフス社の、のれん減損です。
アシックスは2016年に人気フィットネスアプリのランキーパー(Runkeeper)を運営するフィットネスキーパー社を買収していますが、自社eコーマースへの波及効果が期待値を大きく下回っています。
❸ 2019年12月期からカテゴリ再編
2019年12月期から、商品カテゴリが以下のとおり変更となります。
新たに「パフォーマンスランニング」カテゴリを設け、カテゴリNo.1奪取を目指すとのこと。近年、このカテゴリではナイキが圧倒的な支持を得ていますからね。本腰を入れないと勝てないと判断したのだと推測します。
また、絶好調の「オニツカタイガー」を単独カテゴリとして設け、商品展開の拡大を目指すとのこと。
最も弱いカテゴリ(ランニングシューズ)と最も強いカテゴリ(オニツカタイガー)にリソースを集中させる姿勢が伺えます。
2018年12月期3Q
2018年10月に入ってから、日経平均株価が下がり続けていますね。
そんな中、2018年11月2日に株式会社アシックス(7936)の第3四半期の決算が発表されました。現状と今後の展望について、まとめてみたいと思います。
主なハイライトは以下のとおりです。
- 減収減益
- 下方修正
- ランニングカテゴリは 7.5%減
- オニツカタイガー、中国市場は好調
- 構造改革の中身に不安
- ナイキ躍進の影響か?
❶ 減収減益
アシックスは海外比率が7割を超えるグローバル企業ですが、今回の決算では海外市場での販売不信が大きく響いています。
販管費は5.4%増。営業利益は37.1%減で153億円となりました。
❷ 下方修正
第3四半期後半からの販売不振の影響により、通期予想を下方修正しています。通期累計の売上高は9.4%減の3850億円、営業利益は40.0%減の120億円。
営業利益は、第3四半期後半までは開示予想通り推移して板が、以降の売上が低調であり、第4四半期期間に処分販売を見込んでいるため、下方修正。(決算説明資料より)
❸ ランニングカテゴリは 7.5%減
アシックスの主力カテゴリであるランニングシューズは、売上全体の5割以上を占めています。
ランニングカテゴリの第3四半期累計の売上高は、前年比 7.5%減の 1650億円。
そのほかのカテゴリ(トレーニング、コアパフォーマンス)でも、前年比で減額となっています。
❹ オニツカタイガー、中国市場は好調
唯一、増額となっているのが「オニツカタイガー」を含むライフスタイルのカテゴリ。
「オニツカタイガーシューズ」の第3四半期累計の売上高は、前年比 30.8%減の 321億円。
その他、中国市場では、第3四半期累計の売上高が6.2%増の416億円で着地。現地通貨(RMB)ベースだと12.4%増となっています。
中国市場では、ランニングカテゴリも4.1%増でした。
❺ 構造改革の中身に不安
決算説明資料には「対策を検討中」とありましたが、そんな悠長なこと言っていて良いのか?と不安になります。
アシックスの中期経営計画「ASICS Growth Plan 2020」は2018年3月に下方修正がなされたばかりですが、グロースではなく、シュリンクしてしまったので、目標達成も危うくなってきました。
売上高の半数以上を占めるランニングカテゴリがなぜ7.5%も落ちているのか?
第3四半期は、8月に「ダイナフライト3」、9月に「ハイパーゲルライト」や「ターサージール」のカラバリを投入していますが、いまいち話題性に欠けます。
また「オン」や「ホカオネオネ」など、比較的新しいランニングシューズのブランドも急激に浸透しています。