マラソン世界記録保持者は「その瞬間」にこだわる from ポーラ・ラドクリフ『HOW TO RUN』

書評

ポーラ・ラドクリフの『HOW TO RUN マラソン世界記録保持者 ポーラ・ラドクリフのランニング・バイブル』を読み、さすが女子マラソン世界記録保持者の考えることは違うなあと思いました。

ラドクリフが走るときに意識すること

フルマラソンのような長時間の競技でも、短距離選手が一挙手一投足に細心の注意を払うように、ラドクリフは「その瞬間」に徹底的にこだわるといいます。

経験の浅い長距離ランナーは、目前のレースに集中しておらず、体がどのように機能しているか、あまり意識していない。

経験を積んだランナーは、できるだけ無理なく走ろうと、その瞬間にこだわります。エネルギーを節約して効率性を維持するため、あらゆる努力をします。地面を力いっぱい踏みしめるのではなく軽い足取りで、体がどう対応しているか常にチェックしているのです。

さらに、筋肉の硬さや水分レベルを常時モニタリングしているのだとか。走行中にそんなことがわかるなんて驚きです。

また、自分が弱い部分にも注意を向けています。そこに最初に疲労があらわれるとわかっているからです。上体の力を抜くために肩を回してみたり、他に筋肉が硬くなった(あるいは怠けている)場所はないか確認したり、意識的に筋肉をゆるめたり刺激したり。たとえば、握りしめていた手をゆるめ、着地と歩幅をチェックし、臀筋に適度に力を入れ、腕が左右ではなく前後に揺れているかどうか確認し、絶えず体の水分レベルを意識し、呼吸パターンに注意しスプリットタイムを測り、周囲の出場選手に目を配ります。

この調子で2時間超走りつづけるわけですから、身体能力のすごさはもちろんのこと、メンタルも相当強くないと集中力は維持できないですよね。

世界記録の破り方

HOW TO RUN』で特に印象に残ったのが、2003年の「ロンドンマラソン」で世界新記録を打ち立てたときのエピソード。

自分が世界記録のペースを上回っていると分かっていましたが、自信があり落ち着いていて、力強い走りができました。このとき私は、自分の速さを抑えるのではなく、むしろ今日ベストタイムを出せるか、これまでの努力の成果を見極めたいと考えました。そのために、体調とエネルギーレベルの感覚をしっかり把握している必要がありました。

ただ目標ペースに沿って走っていたら、世界記録は生まれなかったかもしれません。常に自分の体の状態が把握できているからこそ、目標ペースを気にせずに最高の走るができる。これがラドクリフの強さだと思います。

トレーニング後30分以内に摂るべきもの

副題に「ランニング・バイブル」とあるように、『HOW TO RUN』は初級者から上級者までを対象にしたマラソン指南書の役割も果たしています。レースに向けたトレーニングプラン、ウェイトトレーニング、シューズ・ウェアの選び方など、写真付きで詳しく書かれています。

特にページを割いているのが、ランナーの「食事」の部分。トレーニングプランの中で食事は軽視されがちですが、ラドクリフは食事こそランナーがもっとも気を配るべきだと言います。これはとても参考になりました。

私が必ず守っているのは、トレーニング後20~30分以内に、水分、炭水化物、タンパク質を補給すること。できるだけ効率的に、燃料を筋肉のグリコーゲンと免疫システムのサポートに使うためには、この時間帯が最適なのです。

食事は1日3食を守る必要はなく、3~4時間おきに軽く5食が理想とのこと。

量を少なく、回数を多く食べる主な理由は、代謝(体に取り込んだ栄養を燃焼させる速さ)を一定に保ち、筋肉の修復にすぐに使える栄養を持続的に供給するためです。

これにはすごく納得しました。平日はいつも7時に朝食を、11時に昼食を、20時に夕食をとっていますが、いつも16~17時になるとお腹が減って、お菓子を大量に食べてしまっています。お菓子の代わりに、サンドイッチなどの軽食を食べるほうが腹持ちもいいですし、健康的ですよね。ぜひ明日から実践してみようと思います。

まとめ

2003年の「ロンドンマラソン」では、2時間15分25秒で女子マラソン世界記録を樹立したポーラ・ラドクリフ。そんな彼女が何を考えて走っているのかが垣間見れる一冊です。

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【もくじ】

  • 1)ゴールを定める
  • 2)準備を整える
  • 3)体のケア
  • 4)スタート
  • 5)レベルアップ
  • 6)本気になる
  • 7)メンタルを鍛える
  • 8)ランニング中の体
  • 9)勝つための食事
  • 10)女性ランナーのために

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