自分自身の「臨界点」を知る by 為末大『走りながら考える』

書評

為末大さんが現役引退後に書いた『走りながら考える』(ダイアモンド社)を読み、いろいろ共感するところがあったので、特に印象に残った言葉を紹介します。

為末選手といえば、元400メートルハードルのトップアスリート。2001年エドモントン世界選手権と2005年ヘルシンキ世界選手権で、日本人初となる銅メダルを獲得しています。2012年に現役を引退し、現在は教育者として、主にスポーツを通じて次世代の人材育成に注力されています。

下り坂のアスリート人生

「十で神童十五で才子二十過ぎれば只の人」という諺があります。小さい頃にずば抜けた能力を持った人でも、成長とともに凡人になるという意味です。

本書によれば、為末さんのアスリートとしての人生のピークは中学時代。全日本中学校選手権では、100mと200mで2冠に輝いたこともあります。しかし高校時代になると、ライバルや後輩に抜かれてしまい、記録が思うように伸びず、短距離選手としての人生を諦めています。そこで出した結論は、自分が最も有利に戦える400メートルハードルへの転向。

400メートルハードルでは、2度の世界選手権3位という快挙を成し遂げたものの、幼いころからの夢であった1位はかなわず、さらに後年はケガや不調に悩まされ、思うように記録が伸びなかったと言います。

為末さんの悲劇は、短距離も400メートルハードルも、早い時期にピークを迎えてしまったことにあります。

ピークが30歳くらいで訪れるのが理想だったけれど、現実は早く迎えてしまった。それ以降は徐々にさがっていく感覚しかなくて、下りのスピードをいかにマネージして抑えるのかという現実に直面した。

目標設定のセンスを磨こう

走りながら考える』のサブタイトルは「人生のハードルを越える64の方法」。下り坂のアスリート人生を歩み、悩み抜いた人だからこそ、その言葉には説得力がありました。

ぼくの中で最も響いたのは、自分自身の「臨界点」を知る、という言葉です。

人は生きている中で、多くの「目標」を掲げる。それを「夢」と呼ぶ人もいるが、それらを叶えるには、正しく目標設定することが重要になってくる。

要するに自分の限界を見極めるということですが、こればかりは頭で考えるのではなく、体験してみないとわからないと為末さんは言います。

 僕は、子供のときに遊びながら、「この川の幅なら飛び越えられる」と直感でわかった。今でも道を歩いていて、「この道が陥没しても、このくらいの距離なら飛べるな」などとつい考える。もちろん、いけると思った川を飛び越えられずに落ちた経験もある。

「できる」「できない」の見極めが重要なのは、スポーツだけではない。人生においても、大きな夢を持つことは大切だが、実現できない夢を持ち続けても不幸になるだけだ。だからこそ、人生の早い段階でいろんなことを体験し、挫折を経験し、「できる」「できない」を見極める体感を養うことが重要だと為末さんは言います。

体感は、子供の時の遊びやスポーツを通して養われるものだと僕は思う。(…)スポーツの効能は、「為せば成る」といった「根性が磨かれること」だと思われることも多いけれど、果たしてそうだろうか。しっかり自分で考えて競技をすれば、磨かれるのは「目標設定のセンス」だと思う。

目標設定のセンス。いい言葉ですね!

まとめ

以上、為末大著『走りながら考える』の紹介でした。人生に行き詰まりを感じたときにぜひ読んでほしい一冊です。以下のリンクから単行本、Kindle本が購入できます。

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【目次】

  • 1章 心のハードルを乗り越えろ
  • 2章 限界が人を強くする
  • 3章 それでもなお、一番を目指す
  • 4章 心と体の声を聞け
  • 5章 誰もが「死」に向かって走っている
  • 6章 「自分」にイノベーションを起こそう

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