シューズ職人は不要。Adidas Futurecraft 4Dと Nike Epic React Flyknit の意外な共通点

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シューズ職人は不要。Adidas Futurecraft 4Dと Nike Epic React Flyknit の意外な共通点

先日、New Balance(ニューバランス)が三村仁司氏の主宰するM.Lab(ミムラボ)とグローバル・パートナーシップを締結したと報じました。三村氏は Adidasでトップアスリート向けのシューズ開発に長年携わってきた生粋のシューズ職人。「現代の名工」の事実上の移籍は、世界の注目を集めました。

一方で、同時期にAdidas は次世代のランニングシューズ「Adidas Futurecraft 4D」を発売。Nikeも次世代シューズ「Nike Epic React Flyknit」を発表しました。この二つのシューズに共通しているのは、人間の勘や経験則に頼らず、効果測定などで得られた膨大なデータをもとにシューズをデザインするデータ・ドリブンな開発手法です。

データがあれば職人はいらない!?

データ・ドリブン(data driven) とは、経験則やリサーチに頼るのではなく、効果測定などで得られた「生データ」をもとにプロダクトやサービスを作る手法を指します。

例えば、マーケティングの世界では従来の市場調査や顧客属性分析よりも、顧客行動分析やA/Bテストなどに重点をおいて次の一手を考えるデータ・ドリブン・マーケティングが主流になりつつあります。最近では公共交通機関や金融、医療の分野でも、膨大なデータをもとに最適解を導き出すアプローチが注目を集めています。

スポーツの世界も例外ではありません。サッカーやラグビーでは、過去の試合における選手の行動パターンを分析し、次の作戦に活かすデータ・ドリブンな戦略立案は珍しくありません。

そしてついに、ランニングシューズもデータ・ドリブンな開発手法でデザインされる時代になりました。それでは、「Adidas Futurecraft 4D」と「Nike Epic React Flyknit」の開発工程をもう少し詳しく見ていきましょう!

Adidas Futurecraft 4D

▲写真は Adidasプレス用画像より

Adidasの次世代ランニングシューズ「FUTURECRAFT 4D」には、まったく新しい設計思想・製造方法で作られたミッドソール素材が使われています。これまでの EVA素材や TPU素材とは異なり、約2万個の小さな支柱によって成り立つ立体格子状の構造が特徴です。

▲写真は Adidasプレス用画像より

支柱は細かなチューニングが可能。ヒール部分はクッション性、土踏まずは安定性、つま先部分は反発性というように、ひとつのシューズに複数の機能を実装することができます。また、立体格子状になっているので通気性の良さはいうまでもありません。

この特殊な構造は、カーボン社のデジタル光合成(digital light synthesis)と呼ばれる3Dプリンター技術を駆使して製造されています。光と酸素をコントロールしながら液体から固体を生成する画期的な手法です。

製造工程をまとめた動画(3分)はこちら。

「FUTURECRAFT 4D」は2018年1月18日からニューヨークの一部店舗で販売を開始しています。価格は300米ドル。

参照adidas Announces Release Of FUTURECRAFT 4D, Officially Ushering In The Future Of Sport Performance Footwear (英語)

Nike Epic React Flyknit

▲写真は Nike公式プレスリリースより

2018年2月22日に発売予定の「Nike Epic React Flyknit」には、新ミッドソール素材「Nike React foam」が使われています。400回以上の試作の末に生み出された「Nike React foam」は、従来のミッドソール素材「Nike Lunarlon foam」よりも反発性能が 13%も向上し、耐久性も大幅に改良されたといいます。

シューズの設計工程では、走行テストで得られた膨大なテストデータをもとに、ミッドソールやアウトソールの形状をデザインしていきます。

新ミッドソール素材は EVA素材に比べると柔軟性が高いため、着地時の衝撃をうまく吸収してくれる反面、どうしても蹴り出しが弱くなります。Nikeの開発陣はテストデータを検証しながら、かかと部分を突き出すことで問題を解決しました。

また、ソール全体に刻まれた「くぼみ」もテストデータに基づいてデザインされています。反発性が欲しい部分はくぼみを浅くし、クッション性が欲しい部分はくぼみが深くなっています。

「Nike Epic React Flyknit」は、2018年2月2日から発売開始予定。

参照MEET THE NIKE EPIC REACT FLYKNIT(英語)

参照What is Nike React?(英語)

データ・ドリブンな開発手法が常識をブチ破る

Adidasと Nikeに共通して言えることですが、膨大なテストデータをもとに試行錯誤を繰り返すことで、これまで不可能だと考えられていたクッション性と反発性の両立、さらには軽量性と耐久性の両立を実現しています。

設計者の「意思」や「意図」からスタートする従来のシューズ開発とはアプローチが180度異なりますね。

タイミングも重要です。ここ数年で 3Dプリンターやデジタル光合成の技術が大幅に進歩したことで、複雑な構造を持つシューズをカタチにすることができるようになりました。これらの技術がなければ「Adidas Futurecraft 4D」や「Nike Epic React Flyknit」は生まれなかったでしょうね。

ワンポイントアドバイス

世界を代表するランニングシューズのメーカ3社が、ほぼ同じタイミングで発表した新しい方針。2強である Adidasと Nikeは「データ」を信じ、New Balanceは「職人技」に将来を託す。これからランニングシューズが面白くなってきそうですね!

関連Nike vs Adidas「サブ2シューズ」頂上対決!アディゼロとヴェイパーフライのスペック比較

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