男子 or 女子?陸上競技の「性別」はテストストロン値で決まる

男子 or 女子?陸上競技の「性別」はテストストロン値で決まる|ともらん

IAAF(国際陸連)の公式サイトで「性の多様性」に関する資料を見つけました。陸上競技には「男子」と「女子」のカテゴリが存在しますが、「トランスジェンダー」の陸上選手はどうなるのか?という疑問に答えたものです。
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結論からいうと、陸上競技の性別(ジェンダー)は、血中のテストストロン値で決まります。

2018年4月にできたばかりの規則なので賛否両論あると思いますが、IAAFが「性の多様性」について真剣に考えているのは良いことだと思います。

なぜ陸上競技は男女で分かれるのか?

陸上競技に限らず、多くのスポーツでは「男子」と「女子」で競技が分かれています。そして、ほとんどの場合、男子のほうが女子より高いパフォーマンスをあげています。

例えばフルマラソンの場合、男子と女子の世界記録では、約14分もの開きがあります。

  • 男子:2時間1分39秒(エリウド・キプチョゲ)
  • 女子:2時間15分25秒(ポーラ・ラドクリフ)

※2018年9月25日時点

一般的に男性のほうが女性よりも身体が大きく、筋力も高いため、身体能力の勝負ではどうしても男性にアドバンテージがありがちです。

こうした身体能力の差が存在する以上、「男女が同じ土俵で競い合うとフェアでない」と IAAFは指摘しています。

陸上競技と性の多様性

最近日本や海外のニュースで「性の多様性」に関するトピックをよく耳にします。性別は必ずしも「男」と「女」だけではない、という考え方が浸透し始めている証拠だと思います。

陸上の世界でも、2018年4月に IAAFが「性の多様性」に関する新たな規則を発表しました。それがこちら。

IAAF Eligibility Regulations for the Female Classification (Athletes with Differences of Sex Development)
拙訳:性分化疾患の陸上選手が女性カテゴリで競技するための規則

IAAF Regulations Governing Eligibility of Athletes Who Have Undergone Sex Reassignment to Compete in Women’s Competitions
拙訳:性転換を行い、女性カテゴリで競技する陸上選手のための規則

資料は IAAFの公式サイトより無料で入手できます。

男性から女性に性転換した陸上選手が、女性カテゴリで競技するためには、どういう条件をクリアする必要があるのか?ということを明文化したものです。

女性から男性に性転換した場合

前提として、男性のほうが女性よりも身体能力に恵まれているため、男女が一緒に競い合うのは「フェアでない」という考えがあります。

スポーツは「フェア」であることが大事なので「男子」と「女子」で競技が分かれるのは当然と言えます。

では、元女性陸上選手が男性に性転換した場合はどうなるのでしょうか?以下が IAAFの規則です。

a female to male transsexual athlete shall be permitted to compete in the male category of International Competitions upon production of a sex recognition certificate..
拙訳:女性から男性に性転換した陸上選手は、性別を証明する書類を提出すれば男子カテゴリで競技してよい

意外と手続きは簡単なのですね。

男性から女性に性転換した場合

一方で、男性から女性に性転換した場合は手続きが複雑です。

  • 競技の最低3カ月前にIAAFに申告
  • 血液・尿検査に応じる
  • その他、必要があれば身体検査に応じる
  • IAAFの専門家チームによる審査がある

ここでは元男性が女子カテゴリで競技することが「フェアかどうか?」が問われます。そして、フェアであるためには、次の3つの項目を満たす必要があります。

(a) she must be recognized at law either as female or as intersex (or equivalent)
拙訳:法的に女性または間性(かそれに相当するもの)として認められている

(b) she must reduce her blood testosterone level to below 5 nmol/L for a continuous period of at least six months
拙訳:血液のテストストロンが1Lあたり5ナノモル以下の状態を最低6カ月間維持していること

(c) thereafter she must maintain her blood testosterone level below 5 nmol/L continuously
拙訳:その後も血液のテストストロンが1Lあたり5ナノモル以下の状態を維持する必要がある

ただし、現時点ではこれらの規則が適用されるのは400mから1マイル(1.6km)までの距離の陸上競技に限られます。

例えば400m走、800m走、1500m走は対象ですが、3000mや10000mやマラソンは対象外ということです。

全ての種目に適用されるまでは、しばらく時間がかかるかもしれないですね。

性別の決め手はテストストロン値

これらの資料を読んでいると「性別とは何か?」「男子・女子の定義は?」ということを深く考えさせられます。

そして、IAAFが定めた規則に則って考えると、陸上競技の性別は血中のテストストロン値で決まることがわかります。ボーダーラインは 1Lあたり5ナノモル。基準以上だと男子、基準以下だと女子にカテゴリー分けされます。

しかし、この基準も万能ではなく、男性でなくてもテストストロン値が異常に高い陸上選手もいます。

IAAFの規則は最近できたばかりなので、これからも様々なケースによって揉まれていくのだと思います。

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