読めば走りたくなるマラソンブログ

tomo.run

マラソン世界記録の「公認」の条件。ボストンマラソンが非公認の理由

Updated

どうも!マラソンブロガーのtomo(とも)です。

幻のマラソン世界記録

2018年の「ベルリンマラソン」では、エリウド・キプチョゲがマラソン男子の世界記録を塗り替えました。僕は現地でレースに参加していたので、ゴール会場で初めて世界記録のニュースを知りました。

ゴール会場では、大会スタッフの方が気を利かせて「New WR 2:01:40」と書かれた紙を掲示。2時間1分40秒は速報値で、公式記録は2時間1分39秒でした。

一方、2011年の「ボストンマラソン」では、ジョフリー・ムタイが当時の世界記録よりも57秒も上回るタイムでゴールしました。しかし、世界記録にはなりませんでした。なぜなら、ボストンマラソンのコースが記録公認の条件を満たしていないから。

参照:日刊スポーツ:ムタイ2時間3分2秒も非公認/マラソン

115回目を迎えた伝統のボストンマラソンが行われ、「世界最速」記録が飛び出した。男子でジョフリー・ムタイ(29=ケニア)が2時間3分2秒で初優勝し、非公認ながらゲブレシラシエ(エチオピア)が持つ2時間3分59秒の世界記録を大きく上回った。(…)その掲示タイムは「皇帝」を57秒も超えるものだった。ただしボストンは国際陸連の記録公認の条件を満たしていないコースのため、世界記録にはならない。

あの格式高いボストンマラソンですら、条件を満たしていないと公認してもらえないんですね…。その条件とは、一体どのようなものなのでしょうか?

世界陸連のルールブック

あまり知られていませんが、記録公認の条件は世界陸上競技連盟(IAAF)のルールブックの第260項(Rule 260)に掲載されています。

マラソンに該当するのは、For World Records in Road Running Events(ロードランニング大会の世界記録について)の箇所。マラソンのコースに関する主な条件は以下の5項目です。

  1. IAAF/AIMSが定める方法で42.195メートルを計測する
  2. スタートからゴールまでの直線距離が42.195kmの50%以下
  3. スタートからゴールまでの下りが42.195kmの0.1%以下
  4. コース計測者(あるいは認定された者が)が先頭車両に乗り、選手がコース通りに走ることを見届ける
  5. コースはレース直前または直後に再計測する

参考までに、英語の原文を参照しながら、条件をひとつずつ見ていきましょう。

1. IAAF/AIMSが定める方法で42.195メートルを計測する

大会運営者が自主的にコースの距離を測るのではなく、世界陸連(IAAF)や国際マラソン・ディスタンスレース協会(AIMS)の公認スタッフによるお墨付きが必要です。

(a) The course must be measured by an “A” or “B” grade IAAF/AIMS approved measurer who shall ensure that the 225 RULE 260 IAAF COMPETITION RULES 2018-2019 relevant measurement report and any other information required by this Rule is available to the IAAF upon request.

2. スタートからゴールまでの直線距離が42.195kmの50%以下

仮にコースが一直線だとしたら、スタートからゴールまでの直線距離は、42.195kmの100%になるので、記録公認の条件は満たしていません。

これは、風の影響で記録が有利になることを防ぐためです。仮に風が一方向に吹いていたとしても、スタートからゴールまでの直線距離が50%以下ならどこかで折り返す必要があるので、追い風も向かい風もあることになります。

(b) The start and finish points of a course, measured along a theoretical straight line between them, shall not be further apart than 50% of the race distance.

3. スタートからゴールまでの下りが42.195kmの0.1%以下

42.195kmの0.1%は、約42m。ゴール地点がスタート地点よりも42m以上低い場合は、記録公認とはなりません。これは、下り坂で記録が有利になることを防ぐためです。

(c) The overall decrease in elevation between the start and finish shall not exceed 1:1000, i.e. 1m per km (0.1%).

4. コース計測者(あるいは認定された者が)が先頭車両に乗り、選手がコース通りに走ることを見届ける

記録公認になるためには、選手が公認コースを実際に走ったことを目視で確認する必要があります。

(d) Any course measurer who originally measured the course or other suitably qualified official designated by the measurer (after consulting the relevant body) with a copy of the documentation detailing the officially measured course shall in advance of the race check that the course is laid out in conformity with the course measured and documented by the official course measurer. He shall then ride in the lead vehicle during the competition or otherwise validate that the same course is run by the athletes.

5. コースはレース直前または直後に再計測する

最初の計測した公認スタッフとは別のスタッフが、レースの直前または直後に再度距離を計測する必要があります。最初に計測してから道路が変わった、ということは絶対にないとは言えないですからね。

(e) The course must be verified (i.e. re-measured) as late as possible before the race, on the day of the race or as soon as practical after the race, by a different “A” grade measurer from any of those who did the original measurement. Note: If the course was originally measured by at least two “A” grade or one “A” and one “B” grade measurers, no verification (re-measurement) under this Rule 260.21(e) will be required.

ボストンマラソンの場合

もう一度、記録公認の条件をおさらいしましょう。

  1. IAAF/AIMSが定める方法で42.195メートルを計測する
  2. スタートからゴールまでの直線距離が42.195kmの50%以下
  3. スタートからゴールまでの下りが42.195kmの0.1%以下
  4. コース計測者(あるいは認定された者が)が先頭車両に乗り、選手がコース通りに走ることを見届ける
  5. コースはレース直前または直後に再計測する

これらを踏まえて、ボストンマラソンのコースを見てみると、2番目と3番目の条件を満たしていないことがわかります。

まず、コースがほぼ直線であること。例えば西から東に風が吹いていた場合、ランナーは追い風に背中を押されて有利に走ることができます。

そして、ゴール地点がスタート地点よりも400フィート(120m)以上も低いこと。下り坂が有利なのは言うまでもないですよね。

ボストンマラソンと言えば「心臓破りの坂」が有名なので、上り坂が多いイメージでしたが、ネットでは下り坂が多いんですね…。

東京マラソンは大丈夫?

下り坂と言えば、先日参加した「東京マラソン」は、スタートから5km地点まで長い下り坂になっており、その後もフラットなコースが続きます。

ゴール地点の東京駅は、スタート地点の東京都庁前よりも低い場所にありますが、その差は約20mなので、記録公認の条件の範囲内です。

この記事をシェアしていただけると嬉しいです!

Profile

tomo(とも)です。マラソンがライフワークの36歳。外資系IT会社員・二児パパしながら「マラソンブロガー」として活動中。夢は、福岡国際マラソン出場と、非エリート系プロランナーになること。

プロフィール詳細 ▶︎

当ブログに関するお問い合せは、以下よりお願いします。

お問い合わせ詳細 ▶︎

Twitter

ランニングに役立つユニークな情報をつぶやいています。フォロー・解除はお気軽にどうぞ!

ツイートをチェック ▶︎

YouTube

ランニング動画を撮っています。チャンネル登録してもらえると大変嬉しいです!

チャンネルをチェック ▶︎

Strava

練習やレースはガーミン時計で記録し、ストラバでアクティビティを一元管理しています。ぜひ、ラン友になりましょう!

アクティビティをチェック▶︎