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【マラソン計測チップ】仕組みと正しい付け方を解説

【マラソン計測チップ】仕組みと正しい付け方を解説

マラソンブロガーのtomo.です。当ブログでは広告を利用していますが、紹介するランニングアイテムはすべて自費で購入し、忖度なしでレビューしています。

マラソン大会で主に使われている計測チップは4種類あります。いずれもランナーを識別し、コース上に設置された受信機を通過すると記録が残る仕組みです。ここでは計測チップの仕組みと正しい付け方について紹介します。

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目次と内容

タイム計測の仕組み

マラソン大会では、次の3点セットを使ってランナーのタイムを計測します。

経験者ならアスリートビブス(ナンバーカード)に同梱された計測チップを目にしたことがあるはず。日本国内のレースで最もポピュラーな「RSタグ」は、ビニールタイでランニングシューズに固定するタイプです。

アンテナマットと受信機は、スタートやゴール、5km毎の通過地点に設置されています。よく見かけるのがブルーのマットを3列に並べたものです。

計測チップがアンテナマットの上を通過すると「いつ」「どこを」通過したのが瞬時に記録できます。計測チップにはランナーが識別できる固有のIDが割り当てられており「だれが」通過したかが分かります。これらのデータをまとめると、ネットタイムやグロスタイム、5km毎のラップタイムを割り出すことができます。

大規模大会だと数万人規模のランナーが一斉に駆け抜けますが、タイムを正確に記録するシステムはどう動いているのか気になりますよね。

計測精度は99.99%

RSタグは、米国テキサス州に本社を置くActive Network社が製造・販売しています。日本国内では株式会社レックスというアールビーズ社の関連会社がRSタグを使った計測ソリューションを提供しています。

Active Network社の公式サイトによると、時速20kmでも正確に読み取るために、アンテナマットには二重周波(Dual Frequency)と呼ばれる特許技術が採用されています。

短波(0.3m以内)と長波(2.0m)の異なる周波を使い分けることにより、99.99%の計測精度を実現しているそうです。理論上は1秒間に120個のRSタグを正確に読み取ることができ、大規模なマラソン大会でランナーが一斉にスタートしても計測漏れが発生しない仕組みとなっています。

アンテナマットは事前に準備しておけば10分もあれば道路に設置できるようです。ランナーが通過する際につまづかないよう、テープでしっかり固定するのがポイント。以下は「一関国際ハーフマラソン2022」でレース開始の30分前に道路が封鎖され、アンテナマットを設置する様子です。

計測チップは4種類

国内外のマラソン大会で使われているのは以下の4種。固有IDを自ら発信するアクティブ(能動)タイプと、固有IDを受信機に読み取ってもらうだけのパッシブ(受動)タイプに分類できます。

名称形式大会(例)
RSタグ(ランナーズ・スポータグ)パッシブ東京マラソン
RTタグ(ランナーズ・トルソータグ)アクティブ別府大分毎日マラソン
RCチップ(ランナーズ・チャンピオンチップ)パッシブベルリンマラソン
RFIDパッシブニューヨークシティマラソン

【RSタグ】Runners SporTag

日本のマラソン大会で最も多く見かけるのが「RSタグ」。RSは「Runners SporTag」の頭文字。

RSタグには4つの穴が空いており、付属のビニールタイでランニングシューズのシューレース(靴ひも)に装着します。重さはわずか5g程度なので、ランニングの妨げになりません。

RSタグは再利用でき、通常はレース終了後に回収されます。大会によっては限定版のRSタグが配布され、記念品として持ち帰ることもできます。上の「東京マラソン2018」のRSタグは持ち帰れました。

RSタグのテクノロジーは、アメリカのActive Network社が提供する「IPICO」というプラットフォームを採用しています。

【RTタグ】Runners TorsoTag

RSタグの次によく見かけるのが「RTタグ」。RTは「Runners TorsoTag」の頭文字。

Torso(トルソー)は英語で「胴体」を意味します。RSタグとは異なり、RTタグは胴体に装着するが、ほとんどの場合はナンバーカードの裏側にテープで貼り付けてあるため、個別に装着する必要はありません。

こちらは受信機を通過する際に固有のID番号を発信するアクティブタイプ。電池が内蔵されており、平均寿命は約7年とのこと。再利用できるため、レース終了後に回収されます。

テクノロジーは、日本のマイクロ・トーク・システムズ株式会社が提供する「J-chipスポーツ計測機器」のプラットフォームを採用しています。

【RCチップ】Runners Champion

海外のマラソン大会で見かけるのが「RCチップ」。RCは「Runners Champion」の頭文字で「チャンピオンチップとも呼ばれます。

これまでに一度だけ「ベルリンマラソン2018」で使ったことがあります。RSタグと同じように、ランニングシューズのシューレスを通して固定します。ベルリンマラソンではレース終了後に回収されますが、追加料金を支払えば持ち帰れるシステムでした。

テクノロジーは、オランダに開発拠点を置くMylaps社の「チャンピオンチップシステム」を採用しています。

【RFID】Radio Frequency IDentifier

他にも、RFID(radio frequency identifier)技術を活用した計測システムがあります。

「ニューヨークシティマラソン2019」では、ChronoTrack社が提供するRFIDのテクノロジーが疲れていました。ナンバーカードに貼り付ける「B-tag」とシューズに巻きつける「D-tag」があり、こちらは前者の方でした。

「シカゴマラソン2017」では、チャンピオンチップを提供するMylaps社のRFID技術を活用した計測システムが使われていました。

いずれも低コストで製造できるので、レース後の回収は不要となります。

日本陸連の規則

参考までに、日本陸上競技連盟規則のルールブックの「第165条 計時と写真判定」には、計測チップについて次のような記載があります。

要するに走行のジャマにならず、重すぎず、ランナーが何もしなくても計測できることが計測チップの必須要件となります。一応、このようなルールがあることは覚えておきたいですね。

計測チップの正しい付け方

「RTタグ」と「RFID」はナンバーカードに装着してあるので、自分で装着する必要があるのは「RSタグ」と「RCチップ」のみ。日本国内のマラソン大会だと「RSタグ」がよく使われています。

「RSタグ」の付け方は簡単。付属のビニールタイを4つの穴に通し、ランニングシューズのヒモに装着するだけ。万が一、レース中に外れて紛失してしまうと失格になるので、ビニールタイで2カ所しっかり固定しましょう。

計測チップは返却すべき?

基本的に「RFID」は返却不要です。アスリートビブスにつけたまま廃棄しても問題ありません。「RTタグ」はほぼ100%の割合でレース終了後に回収されます。「RSタグ」と「RCチップ」は返却するパターンと、返却せずに記念品として持ち帰れるパターンがあります。

返却が必要な場合

返却必須の場合、ゴール地点でシューズから外して返却します。大会スタッフが外してくれることが多いですが、まれに自分で外すことがあります。疲労困憊の状態でしゃがんで外すのは辛いですね…。

DNS(Do Not Start)やDNF(Do Not Finish)によりゴール地点で返却できなかった場合は、大会事務局に郵送する必要があります。RSタグに同梱されている返却用の封筒を使ってちゃんと郵送しましょう。以前、返却をし忘れて、大会事務局から催促のハガキが届いたことがありました。

返却が不要な場合

メジャーな大会だと返却不要で記念品として持ち帰れます。ちなみに「熊本城マラソン」では、サブ3で完走すると専用のホルダーがもらえます!粋な計らいですね。

最後までお読みいただき有難うございます。この記事はマラソンブロガーのtomo.が書きました。当ブログでは紹介するランニングアイテムはすべて自費で購入し、忖度なしでレビューしています。