ケニア人選手のフォームに学ぶ、世界最強のランニングエコノミー(RE)

楽トレ

先週末のシカゴマラソンでは、ケニア勢が圧倒的な強さを見せつけました。男子マラソンは、勝者アベル・キルイを筆頭にケニア人選手が1~5位を独占。女子マラソンは、勝者フローレンス・キプラガトを筆頭に1~4位を独占。最強のマラソン集団ですね。

ちなみに男子フルマラソンの世界記録を持つデニス・キメットもケニア出身です。

ケニア人選手の強み

ケニア人選手がなぜマラソンに強いのか?という点については、これまで様々な研究がなされています。たとえば、

  • ケニアの国土は標高が高いので日常生活が高地トレーニングになる
  • 公共交通機関が発達していないので通学で毎日数十キロ走っている
  • 一流選手になれば故郷に錦を飾れるので命がけで走る

などは、よく聞く話です。

ランニングエコノミー

一方で、筑波大学准教授の榎本 靖士氏による興味深い研究もあります。ケニア人長距離選手と日本人長距離選手の走り方を徹底的に分析して、ケニア人選手の強さに迫った研究です。乳酸性閾値や最大酸素摂取量などメタボリックな要素よりも、ランニングエコノミーの高さがケニア人選手の強みだと結論付けています。

論文:ケニア人長距離選手の生理学的・バイオメカニクス的特徴の究明~日本人長距離選手の強化方策を探る~

http://www.kozuki-foundation.or.jp/ronbun/spresearch/spres05_enomoto.pdf 

  1. 血液の濃度には大きな差はみられないが、赤血球が小さく、血漿量が多いことから血液がより流れやすくより酸素を運搬できる可能性がある
  2. 血液量はとくに多いわけではないが、ケニア選手に関わらず酸素摂取量が多い選手は血液量が多い
  3. 体格的特徴は,下腿が細長く、下腿の筋も小さいが、脚を前後にスウィングすることへの影響は小さい (慣性モーメントは日本人選手と比較して小さくない)
  4. アキレス腱が長く、腹筋(大腰筋)が発達している
  5. 生理学的特徴は、乳酸域値や最大酸素摂取量には大きな差はないと考えられるが、ランニングエコノミーが高く、高い走速度でのトレッドミル走を比較的楽に走ることができる
  6. キックしたのちの脚の前方スウィング開始あたりで大きな屈曲トルクをタイミング良く発揮している

両者のランニングフォームを比べると一目瞭然で、ケニア人選手は日本人選手に比べて股関節屈折が大きく、離地時の反発力が強いのが特徴だと言います。下の図をみると解りやすいですが、地面をキックするポイントがケニア人選手のほうが少し後ろに置かれるため、より強い推進力が生まれます。

 (上記論文より)

まあ、一見は百閒にしかず。Youtubeでケニア人のトップ選手の動画を集めてきたので、彼らのフォームを研究して、自分のランニングにも取り入れてみようと思います。

ウィルソン・キプサングのフォーム

2013年のベルリンマラソンでは、自己ベストである2時間3分23秒をマークし、当時のフルマラソン世界記録を更新した選手です。びわ湖毎日マラソン、ニューヨークシティマラソン、ロンドンマラソンでも優勝経験があります。

こちらはキプサングが走る様子のスローモーションです。


ポール・テルガトのフォーム

2003年のベルリンマラソンでは、2時間4分55秒で当時のフルマラソン世界記録を更新。他にも、ハーフマラソンの世界記録保持者でもあった、マラソン界のスーパースターです。


デニス・キメットのフォーム

言わずと知れた男子フルマラソンの世界記録保持者。世界記録を樹立した、2014年のベルリンマラソンの映像です。


フローレンス・キプラガトのフォーム

女子ハーフマラソンの世界記録保持者であり、先週末の「シカゴマラソン 2016」の女子マラソンで見事優勝したキプラガトの貴重なスローモーション映像です。


キャサリン・ヌデレバのフォーム

子供を出産した後にマラソンを始めた、異色のママさんランナー。ボストンマラソン、シカゴマラソン、世界陸上(2003年パリ大会、2007年大阪大会)での優勝実績がある。


テグラ・ロルーペのフォーム

1998年のロッテルダムマラソンでは2時間20分47秒で世界記録を更新、さらに翌年のベルリンマラソンでは世界記録を4秒短縮して優勝。


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