【レビュー】カロス ペース3:高機能化した世界最軽量ランニングウォッチ
今さらですがカロス(Coros)のランニングウォッチのエントリーモデル「ペース3」を購入しました。世界最軽量を謳った前作「ペース2」から1gしか増えていないのにセンサー類が刷新。詳しくレビューしていきます。

カロスのエントリーモデル
カロス(Coros)は、アメリカ発のウェアラブルディバイスのメーカー。主に世界最軽量クラスのGPSランニングウォッチやバイク向けコンピューターなどを展開しています。

ランニング界隈ではGarminやApple Watch、Suuntoほどの知名度はありませんが、ここ数年はエリウド・キプチョゲや大迫傑などトップマラソン選手をアンバサダーに起用し、ブランド認知度を高めています。
自分は2021年に「ペース2(Pace 2)」というカロスのエントリーモデルを購入し、世界最軽量クラスのデバイスや専用アプリの使い勝手の良さに感動しました。しかしGarminと比べると、他サービスとの互換性が劣るため、その後、結局Garminに戻りました。

そしてこの度、4年ぶりに「ペース3(Pace 3)」を購入して再びカロスの世界に戻ってきました。デバイスのレビューをしながら、なぜカロスに鞍替えしたのか?について解説します。
ペース3の主な特徴
まずは「ペース3」の特徴から見ていきましょう。
- 1.2インチ透過型タッチスクリーンディスプレイ
- 2周波GPS・次世代光学式心拍・高度計
- 通常使用最大15日間、GPSモード最大38時間連続稼働
- 重さは30g(シリコンバンド装着時は39g)
- 定価は33,000円

同梱物はウォッチ本体、取扱説明書、充電ケーブルのみ。

リストバンドは、軽くて腕に隙間なくフィットする「ナイロンバンド」と、耐久性に優れた「シリコンバンド」が選べます。価格は同じですが、ナイロンバンドを装着したウォッチの重量は30gと、シリコンバンドよりも9g軽くなっています。

ディスプレイは1.2型サイズ。寸法は幅41.9mm、高さ41.9mm、厚さ11.7mm。LCD(液晶ディスプレイ)をしようしており、タッチ操作にも対応しています。

ウォッチの右上には、カロスのランニングウォッチの特徴でもある「デジタルダイアル」ボタンを配置。ダイアルを回すことで選択画面をスムーズにスクロールでき、デジタルダイアルを押すと選択できます。操作方法はApple Watchと同じです。

ウォッチの裏側には次世代光学式センサーを搭載。5つのLEDライト、4つの光検出器、光学式ぱするオキシメーターが高精度の心拍データを測定します。
ペース2から進化したポイント
前作の「ペース2」との違いを簡単に見ていきましょう。参考までに上位モデルの「ペースプロ」とも比較します。
ペース2 | ペース3 | ペースプロ | |
---|---|---|---|
発売 | 2023年8月 | 2021年8月 | 2024年11月 |
定価 | 33,000円 | 29,480円 | 49,940円〜 |
サイズ | 41.9 x 41.9 x 11.7mm | 41.9 x 41.9 x 11.7mm | 46 x 46 x 12.25mm |
重量(ナイロンバンド装着時) | 30g | 29g | 37g |
ディスプレイ | 1.2型LCD | 1.2型LCD | 1.3型AMOLED |
タッチパネル | 対応 | 非対応 | 対応 |
バッテリー(日常使用) | 15日間 | 14日間 | 20日間 |
バッテリー(標準フルGPS) | 38時間 | 27時間 | – |
バッテリー(全システムON) | 25時間 | – | 38時間 |
GNSSチップス | 全システム二周波 | 単周波 | 全システム二周波 |
光学式心拍計 | 対応 | 対応 | 対応 |
光学式パルス | 対応 | 非対応 | 対応 |
スペックの違いだけ見ても「ペース3」は「ペース2」から大幅にアップデートされているのが分かります。タッチパネルに対応し、バッテリーの持ちが向上。そして新たに全システム二周波(デュアルシステム)技術や光学式パルスオキシメーターを搭載。それなのにサイズは同じ、重量は1gアップに留めています。
機能的には上位モデルの「ペースプロ」に迫る勢いですが、決定的な違いは「ペースプロ」はAMOLEDディスプレイを搭載し、バッテリーの持ちさらに長く、サイズも大きくなっています。
ちなみに今回あえて最新機種でスペックの高い「ペースプロ」を選ばなかった理由は、自分にはサイズが大きすぎるから。
ファーストインプレッション
ここからは実際に「ペース3」をランニングで使用してみて、気づいた点を忖度なしでコメントしていきます。
とにかく軽い

これまでいろんな種類のランニングウォッチを使ってきましたが、カロスの「ペース」シリーズは世界最軽量クラスであり、実際に装着するとその軽さに驚きます。1gでも軽くして走りたいランナーは気にいると思いますし、キプチョゲ選手や大迫傑選手などが選ぶのも納得です。
細腕にマッチする

自分は腕が細いのがコンプレックスなのですが、大型の時計を装着すると、腕の細さが強調されてしまいます。「ペース3」は幅・高さが41.9mmとランニングウォッチの中では最小クラス。しかも厚さが11.7mmしかなく、自分の細い腕にマッチしています。小さいサイズの時計って、結構需要あると思うんですよね。
デジタルダイアルの使い勝手が良い
ランニングウォッチは基本的に画面が小さいため、メニューを選ぶ時にスクロールするのが面倒。一般的には上下ボタンで操作し、最近はタッチパネル対応機種も増えてきましたが、画面が小さいと難しい。その点、デジタルダイヤルはレスポンスが良く、スクロールが非常にスムーズ。決定ボタンと同じなので、指を動かさなくても良いのが便利ですね。
画面の視認性は悪くない

今回はAMOLEDからLCD(液晶)ディスプレイへの機種変更のため、解像度や視認性はどうしてもAMOLEDに劣ります。特に夜間はAMOLEDほどくっきり見えません。メールなど細かい文字をウォッチで確認するのは疲れますが、ランニングウォッチとして使う分には何の問題もありません。
GPSの補足が速い

屋外に出て5〜10秒で補足できました。これに時間がかかると結構ストレスになりますが、今のところ問題なし。
誤操作防止機能

Garminを使っている時は、記録を一時停止した後に再開するつもりが誤って完了してしまい、データが途中で切れてしまうことが何度がありました。長距離走や旅ランでこれをやってしまうとガッカリするんですよね…。まあ自分が注意すべきなんですが。
一方カロスには誤作動防止機能が付いており、記録を完了するにはデジタルダイヤルを3秒間長押しする必要があります。これなら誤操作で記録を中断してしまう心配はありません。
アプリとのデータ連携も速い

最近GarminのデバイスとGarmin Connectのデータ連携に時間がかかりストレスでしたが、「ペース3」は3〜5秒でサクッと連携できてノーストレスでした。
充電は独自設計

給電口はGarminとは異なるカロスの独自仕様。「ペース2」と同じですが、最新の「ペースプロ」とは仕様が異なるらしいので注意が必要です。付属の充電ケーブルがUSB Type-Aなのは、イケてないですね…。

またカロスのためだけに専用ケーブルを持ち歩くのは嫌なので、Garminと同様に、変換アダプターを別途購入しました。これならType-Cに装着して使えます。
カロスの真価はアプリにあり
ランニングウォッチは記録したデータを管理する必要があるため、ハードウェア(ウォッチ)だけでなく、ソフトウェア(アプリ)の使い勝手も無視できません。
個人的には長年Garminのランニングウォッチを愛用していますが、Garminのアクティビティを管理する「Garmin Connect」はユーザインターフェースが良くなく、使いづらいんですよね…。
そのため、GarminをStrava(ストラバ)に連携して、Stravaで全てのデータを管理してきました。ただStravaのデータ分析機能をフルに活用するには、有料サブスクリプションに加入しないといけません。
一方でカロスのユーザインターフェースはStrava並みに使いやすく無料で利用できます。

今後もStravaに課金し続けてGarmin(ハード)+ Strava(ソフト)で運用すべきか、それともカロスでハードもソフトもまとめてしまうか?長期的視点で考えた時に、後者の方がメリットが大きいと思い、4年ぶりにカロスに戻ってきました。この辺りについては、別の記事で詳しく解説したいと思います。
評価まとめ
以上、カロスの「ペース3」を紹介しました。良い点、気になる点のまとめは次のとおり。
良い点
- 世界最軽量クラス
- GPSの補足とデータ連携が速い
- アプリの使い勝手が良い
気になる点
- AMOLEDに比べると視認性が劣る
