【レビュー】Li-Ning Feidian 5 Challenger:コスパは良いが一長一短あり
中国のスポーツブランドLi-Ning(リーニン)の人気モデル「Feidian 5 Challenger」を購入。ミッドソールは高反発でクッションの質感も自分好みでしたが、試着や試走なしで購入するのはハードルが非常に高く、履く人を選ぶシューズだと思いました。




中国のスポーツブランド
Li-Ning(リーニン)は、中国の北京市に本社を置く「李寧有限公司」のスポーツブランド。新華社通信によると、2024年上半期の売り上げは143億元(日本円で約2,800億円)でした。以下は中国国内市場のスポーツメーカーの売上ランキングですが、Li-Ningは首位のAntaの半分以下、Adidasより少し上のポジションとなります。
- Anta 337億元
- Nike 281億元
- Li-Ning 143億元
- Adidas 131億元
- Xtep 72億元
- 361 51億元
数年前にLi-Ningのシューズがランニング界隈でちょっと話題になり、最近だと大迫傑選手がXtepのシューズをレースで試し履きしていますが、日本に住んでいると中国メーカーのランニングシューズを手に取る機会は皆無に等しいです。
しかし自分は年に1度、中国本土を訪れる機会があるため、2024年はAntaのランニングシューズを、そして2025年はLi-Ningのランニングシューズを現地で購入しました。年に20足以上のランニングシューズをレビューしている人間として、常にアンテナを広げておきたいですからね。
Li-Ningの人気ランニングシューズ
というわけで、中国吉林省の地方都市にあるLi-Ningの店舗を訪れました。

まず驚いたのが、361、Li-Ning、Antaのお店が隣り合わせになっていること。もしかしたら同じオーナーが経営するフランチャイズ店かもしれませんが、日本だとAsicsとMizunoが隣り合わせになっているような感じでしょうか。
北京や上海などの大都市の店舗とは違い、品揃えはそんなに良くありませんが、Li-Ningの人気シリーズ「Feidian(飞电)」の第5世代最新作「Feidian 5 Challenger」は在庫が潤沢にありました。

ちなみに「Feidian 5」は、エリートランナー向けの「Ultra」と「Elite」、市民ランナー向けの「Challenger」の3つのモデルから選べます。今回は「Feidian 5 Challenger」を購入しました。
Feidian 5 Challengerの特徴
それでは「Feidian 5 Challenger」を詳しく見ていきましょう。主な特徴は次のとおり。
- ミッドソールは高反発のTPU素材を使用
- カーボンファイバープレートを内蔵
- アッパーは通気性に優れたBoom Fiberを採用
- 2025年春モデル
- 定価は699人民元(約13,000円)

ミッドソールには弾力性と耐摩耗性に優れたTPU素材(ポリウレタン系熱可塑性エラストマー)を使用し、T700カーボンファイバープレートを内蔵しています。前作と比較して反発力が14%向上しています。

アウトソールにはGCRラバーを使用することでグリップ性能を高め、耐久性が前作よりも6%向上しています。真ん中の窪みからはカーボンファイバープレートが見えます。

アッパーは通気性の高いNi-Ning独自の「Boom Fiber」を採用。

重さは、245mmサイズ(US7相当)の実測値が181gでした。
サイズとフィット感

以前、Antaのランニングシューズを購入した時もサイズ選びには苦労しました。中国のmm表記は、日本のcm表記のサイズ感と違うんですよね。ちなみにAntaは255mm(US8相当)、Li-Ningは245mm(US7相当)がジャストフィットでした。試着しないで購入すると絶対に後悔します…。

足を入れた感じは、やや縦長の印象で、幅広の自分の足には横幅がやや窮屈に感じました。つま先周りにはゆとりがあり、足指が自由に動かせます。
ファーストインプレッション
ここからは実際に「Feidian 5 Challenger」をランニングで履いてみて気づいた点を、忖度なしでコメントしてきます。
反発力が非常に高い

かなりの高反発力だと思いました。クッション自体のレスポンスが高く、カーボンプレートによって増強されている印象。しかも軽いので、ポンポン前に進みます。クッションの質感は発泡スチロールに似ており、この手のクッションは昔から好きですね。
アッパーは一長一短

軽量化のため素材をかなり削ぎ落としていますが、Boom Fiberのアンクルパッドは足首にぴたりとフィットして非常に快適でした。ただしプルタブは高さがありすぎてアキレス腱と干渉します。

シュータンとシューレースはサポート力がイマイチでした。全体的にコスパの良いシューズだと思いますが、ここはかなりコストカットされている印象です。
フォアフット寄り

ヒールで着地すると設置面積が小さいためか安定感が下がります。せっかく高反発でレスポンスも高いのに、フォアフット走法じゃないとこのシューズのポテンシャルを生かしきれない気がします。そういう意味では、履く人を選ぶシューズだと思いました。
評価まとめ
Li-Ningの「Feidian 5 Challenger」の良い点、気になる点のまとめは次のとおり。
良い点
- 反発力が高く、ハイペースのランニングにも対応できる
- アンクルパッドのフィット感が素晴らしい
気になる点
- シュータン・シューレースのサポートがイマイチ
- フォアフット走法以外だと安定感が下がる
日本円に換算すると13,000円。この価格帯でカーボンプレート内蔵シューズが買えるのは、かなりの割安感があります。ただしサイズやフィット感、ランニング走法によって合う・合わないが大きく分かれそうなので、試着や試走せずに購入するのはかなりハードルが高いと思います。
同じ価格帯でカーボンプレート内蔵シューズを手に入れるなら、Asicsの「マジックスピード4」がおすすめです。Asics最高峰モデル「メタスピード」に近いパフォーマンスが得られるのに価格はその半分以下。非常にコスパの高いランニングシューズです。
