【マラソン大会の収支】東京・大阪マラソンの決算書を分析してみた
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【マラソン大会の収支】東京・大阪マラソンの決算書を分析してみた

マラソン大会の収入というと「参加費」を思い浮かべますが、実は東京マラソンでは参加料収益は全体のわずか12%。収入の6割以上は協賛金が占めています。この記事では、東京・大阪マラソン(2019年大会)の決算書をもとに、マラソン大会の収支構造と経営課題を分析します。

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この記事の目次

マラソン大会は儲かるのか?

国内のマラソン大会の多くは、行政からの分担金を費用の一部に充てているため、経営状況の説明責任があります。例えば「東京マラソン」や「大阪マラソン」の決算情報は、公式サイトで誰でも閲覧することができます。

普段はランナーとして参加するマラソン大会も、運営者側の視点で決算情報の数字を眺めていると、いろんな気づきがあって面白いです。特に収支の内訳を深掘りしていくと、一見すると収支のバランスが取れているように見えますが、収入を行政分担金と協賛金に依存し過ぎていることがわかります。

インターネットで公開されている決算情報をもとに、その辺りを詳しく見てみましょう。なお、ここで扱うのはコロナ前の2019年大会のデータです。

東京マラソン2019の収支

東京マラソンのスタート地点に集まったランナー

一般財団法人東京マラソン財団がまとめた「経営改革プラン改訂版(2020年度)」によると、「東京マラソン2019」の決算情報は以下のとおりです。

  • 経常収益:42億2672万円
  • 経常費用:41億2513万円

これを見ると一応収支のバランスは取れていますが、収益と費用の内訳をもう少し詳しく見ていきましょう。

経常収益の内訳

主な収益とその内訳は以下のとおりです。

  • 協賛金収益:26億5204万円(63%)
  • 参加料収益:4億8745万円(12%)
  • 協賛物品収益:2億6565万円(6%)
  • 都分担金等:2億1483万円(5%)

協賛金収益が収益全体の63%を占め、協賛物品収益も含めると約69%が協賛によるもの。一方で、参加料収益は収益全体の12%しかありません。

経常費用の内訳

主な費用とその内訳は以下のとおりです。

  • 委託費:21億2966万円(57%)
  • 支払手数料:4億2715万円(11%)
  • 人件費:1億6421万円(4%)
  • 賃借料:1億4862万円(4%)

大会運営や警備、搬送などを含む委託費が費用全体の半数以上を占めています。意外と大きいのが、費用全体の11%を占める支払手数料。人件費が少なめなのは、運営の多くをボランティアスタッフが支えているからでしょう。

東京マラソンの経営課題

先ほど紹介した資料は、「東京マラソン」を事業としてとらえ、企業の強み・弱みを知るために使われるSWOT分析を通して、経営課題を浮き彫りにしています。

東京マラソンが自認する経営課題は以下のとおりです。

  • 団体運営の収益構造が東京マラソンというイベントに頼りすぎている
  • 団体収益の大部分を協賛金が占めており、安定的な自主財源の確保が必要
  • 主事業が年1回の東京マラソンのみ
  • 海外のメジャーなマラソン大会に比べてチャリティ事業が見劣りする

大阪マラソン2019の収支

大阪マラソンの会場の様子

もうひとつ、今度は大阪府が公表している大阪マラソンの「令和元年度収支決算額」の資料をもとに、「大阪マラソン2019」の収支を見てみましょう。

  • 経常収益:15億1413万円
  • 経常費用:14億7874万円

収入の内訳

主な収入とその内訳は以下のとおりです。

  • 協賛金収入:7億9900万円(52%)
  • 参加料収入:4億1942万円(27%)
  • 行政分担金:1億8000万円(11%)
  • 事業収入:1億0356万円(6%)

協賛金収入が収入全体の52%を占め、行政分担金も含めると約63%。協賛金の比率が高い点は東京マラソンと共通しています。一方で、参加料収入は収入全体の27%を占め、東京マラソン(12%)よりも大きな割合を占めています。事業収入には、EXPOブースにおける販売収入などが含まれます。

費用の内訳

主な費用とその内訳は以下のとおりです。

  • 大会運営費:7億4673万円(50%)
  • 広報・イベント費:3億6634万円(24%)
  • 安全対策費:2億4830万円(16%)
  • エントリー・記録関係費:9974万円(6%)

東京マラソンと費用科目が異なるため単純な比較はできませんが、費用全体の16%を占める安全対策費の大きさが意外でした。2013年のボストンマラソンのテロ事件以降、国内外のマラソン大会で安全対策の費用が上がったと言われています。

マラソン大会の経営課題

大阪マラソンのコースを走るランナー

「東京マラソン」と「大阪マラソン」の決算情報を見る限り、一応、収支のバランスは取れており「赤字」ではありません。ただし、その内訳には課題も見えてきます。

協賛金・行政分担金に依存

まず、行政からの資金注入(行政分担金)が東京で約5%、大阪で約11%を占めており、これを差し引くと、いずれの大会も収支が一気に苦しくなります。

さらに協賛金収入が収益の半数以上を占める構造のため、参加者を集められない大会はスポンサーセールスにも苦戦します。

「東京マラソン」や「大阪マラソン」のように人気の高い大会は問題ないでしょうが、定員割れする大会は「人が集まらない→参加費が集まらない→スポンサーも集まらない」という負のスパイラルに陥ってしまいます。

「お祭り」で終わってしまう

東京マラソンの経営課題でも指摘されていましたが、マラソン大会の多くは年1〜2日のイベント収益に依存しています。

自然災害や何らかの事情で中止を余儀なくされた場合、収益源が一気に吹き飛びます。特に2020〜2021年のコロナ禍では、この弱点が浮き彫りになりました。

東京マラソンはこうした依存から脱却するため、「ONE TOKYO プレミアムメンバー」の有料会員サービスを提供したり、2022年には「東京レガシーハーフマラソン」を企画したりと、新たな道を模索しています。

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