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徹底解説|マラソンの計測チップの仕組みと正しい付け方

ともらん

マラソンブロガーのtomoです。

マラソン大会で使われる計測チップはどういう仕組みなの?正しい付け方はあるの?という疑問にお答えします。

大規模大会だと数万人規模のランナーが一斉に駆け抜けますが、タイムを正確に記録するシステムはどう動いているのか気になりますよね。

計測チップは主に4種類ありますが、いずれも以下の3点セットを使って通過タイムを記録します。

ちなみに「とも」は持ち帰り可能な計測チップを集めるのが趣味です。

目次と内容

タイム計測の仕組み

マラソン大会に参加経験がある方は、以下のブルーのマットを目にしたことがあるはず。

これはスタートやゴール、5km毎のポイントや中間地点などに設置されている受信機です。

計測チップが受信機の上を通過すると「いつ」「どこを」通過したのが瞬時に記録できます。

計測チップにはランナーが識別できる固有のIDが割り当てられており「だれが」通過したかが分かります。

計測チップは4種類

計測チップに関しては、国内外のマラソン大会で使われているのは以下の4種。固有IDを自ら発信するアクティブ(能動)タイプと、固有IDを受信機に読み取ってもらうだけのパッシブ(受動)タイプに分類できます。

名称形式大会(例)
RSタグ(ランナーズ・スポータグ)パッシブ東京マラソン
RTタグ(ランナーズ・トルソータグ)アクティブ別府大分毎日マラソン
RCチップ(ランナーズ・チャンピオンチップ)パッシブベルリンマラソン
RFIDパッシブニューヨークシティマラソン

【RSタグ】Runners SporTag

日本のマラソン大会で最も多く見かけるのが「RSタグ」。RSは「Runners SporTag」の頭文字。

RSタグには4つの穴が空いており、付属のビニールタイでランニングシューズのシューレース(靴ひも)に装着します。重さはわずか5g程度なので、ランニングの妨げになりません。

RSタグは再利用でき、通常はレース終了後に回収されます。大会によっては限定版のRSタグが配布され、記念品として持ち帰ることもできます。上の「東京マラソン2018」のRSタグは持ち帰れました。

RSタグのテクノロジーは、アメリカのActive Network社が提供する「IPICO」というプラットフォームを採用しています。

【RTタグ】Runners TorsoTag

RSタグの次によく見かけるのが「RTタグ」。RTは「Runners TorsoTag」の頭文字。

Torso(トルソー)は英語で「胴体」を意味します。RSタグとは異なり、RTタグは胴体に装着するが、ほとんどの場合はナンバーカードの裏側にテープで貼り付けてあるため、個別に装着する必要はありません。

こちらは受信機を通過する際に固有のID番号を発信するアクティブタイプ。電池が内蔵されており、平均寿命は約7年とのこと。再利用できるため、レース終了後に回収されます。

テクノロジーは、日本のマイクロ・トーク・システムズ株式会社が提供する「J-chipスポーツ計測機器」のプラットフォームを採用しています。

【RCチップ】Runners Champion

海外のマラソン大会で見かけるのが「RCチップ」。RCは「Runners Champion」の頭文字で「チャンピオンチップとも呼ばれます。

これまでに一度だけ「ベルリンマラソン2018」で使ったことがあります。RSタグと同じように、ランニングシューズのシューレスを通して固定します。

ベルリンマラソンではレース終了後に回収されますが、追加料金を支払えば持ち帰れるシステムでした。

テクノロジーは、オランダに開発拠点を置くMylaps社の「チャンピオンチップシステム」を採用しています。

【RFID】Radio Frequency IDentifier

他にも、RFID(radio frequency identifier)技術を活用した計測システムがあります。

「ニューヨークシティマラソン2019」では、ChronoTrack社が提供するRFIDのテクノロジーが疲れていました。ナンバーカードに貼り付ける「B-tag」とシューズに巻きつける「D-tag」があり、こちらは前者の方でした。

「シカゴマラソン2017」では、チャンピオンチップを提供するMylaps社のRFID技術を活用した計測システムが使われていました。

いずれも低コストで製造できるので、レース後の回収は不要となります。

日本陸連の規則

余談ですが、日本陸上競技連盟規則のルールブックの「第165条 計時と写真判定」には、計測チップについて次のような記載があります。

要するに走行のジャマにならず、重すぎず、ランナーが何もしなくても計測できることが計測チップの必須要件となります。一応、このようなルールがあるんですね。

RSタグの正しい付け方

ここでは、日本国内のマラソン大会で最も主流なRSタグの付け方を紹介します。

付け方は簡単。ビニールタイを4つの穴に通し、ランニングシューズのヒモに装着するだけ。

万が一、レース中に外れて紛失してしまうと「失格」になるので、ビニールタイで2カ所しっかり固定しよう。

RSタグの返却

RSタグには持ち帰り可能なものもありますが、基本的にはレース終了後に回収されます。

ゴール地点でスタッフが外してくれることが多いですが、たまに自分で外すことになります。疲労困憊の状態で外すのは結構ツラいです。

DNSやDNFによりゴール地点で返却できなかった場合は、大会事務局に郵送する必要があります。

RSタグに同梱されている返却用の封筒を使ってちゃんと郵送しましょう。以前、返却をし忘れて、大会事務局から催促のハガキが届いたことがありました。

RSタグの計測精度は99.99%

RSタグは、米国テキサス州に本社を置くActive Network社が製造・販売しています。

日本国内では株式会社レックスというアールビーズ社の関連会社がRSタグを使った計測ソリューションを提供しています。

Active Network社の公式サイトによると、時速20kmでも正確に読み取るために、アンテナマットには二重周波(Dual Frequency)と呼ばれる特許技術が採用されています。

短波(0.3m以内)と長波(2.0m)の異なる周波を使い分けることにより、99.99%の計測精度を実現しているそうです。

理論上は1秒間に120個のRSタグを正確に読み取ることができ、大規模なマラソン大会でランナーが一斉にスタートしても計測漏れが発生しない仕組みとなっています。

おまけ

アンテナマットは事前に準備しておけば10分もあれば道路に設置できるようです。

先日参加した「一関国際ハーフマラソン2022」では、レース開始の30分前に道路が封鎖され、アンテナマットを設置する様子が見学できました。

ランナーが通過する際につまづかないよう、テープでしっかり固定するのがポイントですね。