
マラソンブロガーのtomoです。
マラソン大会は収支のバランスが取れているのか?主な収益源は何か?という疑問にお答えします。
一般公開されているマラソン大会の決算情報を見ると、収支のバランスは取れているように見えますが、収入の6割以上をスポンサーと行政の協力金に依存しています。一方で参加費は1割程度。
決算情報を眺めていると、マラソン大会の経営課題と今後目指すべき道が見えてきて面白いですよ。
国内のマラソン大会の多くは、行政から「協力金」を一部の費用に充てているため、経営状況の説明責任があります。
例えば「東京マラソン」や「大阪マラソン」の決算情報は公式サイトで誰でも閲覧することができます。
普段はランナーとして参加するマラソン大会も、運営者側の視点で決算情報の数字を眺めていると、いろんな気づきがあって面白いです。
そして、一番気になるのはマラソン大会は赤字にならないのか?ですね。少なくとも収支のバランスが取れていないと、持続可能ではないですからね。
インターネットで公開されている決算情報をもとに、その辺りを詳しく見てみましょう。
一般財団法人東京マラソン財団がまとめた「経営改革プラン改訂版(2020年度)」によると、「東京マラソン2019」の決算情報は以下のとおり。
これを見ると一応収支のバランスは取れているが、収益と費用の内訳をもう少し詳しく見ていこう。
主な収益とその内訳は以下のとおり。
協賛金収益が収益全体の63%を占め、都分担金も含めると68%もの収益が協賛金によるもの。一方で、参加料収入は収益全体の12%しかありません。
主な費用とその内訳は以下のとおり。
大会運営や警備、搬送などを含む委託費が費用全体の半数以上を占めています。意外と大きいのが費用全体の4%を占める支払い手数料。人件費が意外と少ないのは、ボランティアスタッフを使っているからでしょうか。
先ほど紹介した資料は「東京マラソン」を事業としてとらえ、企業の強み・弱みを知るために使われるSWOT分析を通して、経営課題を浮き彫りにしています。
東京マラソンが自認する経営課題は以下のとおり。
もうひとつ、今度は大阪府が公表している大阪マラソンの「令和元年度終始決算額」の資料をもとに「大阪マラソン2019」の収支を見てみましょう。
主な収入とその内訳は以下のとおり。
協賛金収入が収入全体の52%を占め、行政分担金も含めると63%もの収入が協賛金によるもの。東京マラソン(68%)と大きく変わらないですね。
一方で、参加料収入は収入全体の27%を占め、東京マラソン(12%)よりも大きな割合を占めています。事業収入はEXPOブースにおける販売収入などが含まれます。
主な費用とその内訳は以下のとおり。
東京マラソンと費用科目が異なるため単純な比較はできませんが、費用全体の16%を占める安全対策が大きくて意外でした。2013年のボストンマラソンのテロ事件以降、国内外のマラソン大会で安全対策の費用が上がったと言われています。
「東京マラソン」と「大阪マラソン」の決算情報を見る限り、一応、収支のバランスは取れており「赤字」ではありません。
ただし、行政からの資金注入(行政負担金)が収益全体の11〜12%と大きく、これを差し引いてしまうと、いずれも大会も赤字に転落します。
またスポンサー収入(協賛金収入)が収益の半数以上を占める中、参加者を集められないマラソン大会はスポンサーセールスに苦戦します。
「東京マラソン」や「大阪マラソン」のように人気の高い大会は問題ないでしょうが、定員割れする大会は人が集まらない→参加費が集まらない→スポンサーが集まらないの負のスパイラルに陥っていまします。
東京マラソンの経営課題でも指摘されていましたが、マラソン大会の多くは1〜2日のイベントに収益に依存しています。
自然災害や何らかの事情により中止を余儀なくされた場合、収益源が一気に吹っ飛びます。特に2020〜2021年のコロナ禍では、これが浮き彫りになりました。
東京マラソンはこうした依存から脱却するために「ONE TOKYO プレミアムメンバー」の有料会員サービスを提供したり、2022年には「東京レガシーハーフマラソン」を企画したり、新たな道を模索していますね。
東京マラソンは関連グッズの販売にも力を入れています。EXPO会場で見つけたグッズの中で印象に残っているのは「東京マラソン せんべい」。どんな味が気になりますよね。
これまでにレースや旅ランで走ったことのある国内外のエリアをまとめました。
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マラソンをライフワークにしているアラフォー男性です。埼玉県に在住、都内IT企業に勤めながらマラソンブロガーとして活動中。本名は桑原智彦。プロフィール詳細へ
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