
徹底解説|マラソン完走タイムと月間走行距離:目安はサブ4が150km、サブ3が250km
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マラソン大会の顧客調査データとStravaのビッグデータ解析を参考に、マラソン目標タイムと月間走行距離の相関を調べてみた。ともらん的結論は、フルマラソン4時間切りを目指すなら150km、3時間切りなら250kmが目安となる。

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目次と内容
マラソン完走タイムと月間走行距離の相関

フルマラソン(42.195km)に挑戦したことがあるランナーなら「〇〇時間以内に完走するためには、月間〇〇km走ればいいの?」と一度は疑問に思ったことがあるだろう。
量よりも質が重要
しかし、月間走行距離を伸ばせばマラソンの完走タイムが速くなるという単純な話ではない。
小出義雄さんの名著『マラソンは毎日走っても完走できない』によると、マラソンで大事なのは練習で「どれだけ負荷をかけられか」だという。
市民マラソン大会に出ると、30km過ぎから歩いてしまったり、あるいはスピードがガクンと落ちてしまう人がとても多い。みなさん、「毎日5km走っていた」など練習熱心な人が少なくないのだが、ではなぜ走れなくなってしまうのか? その理由は、毎日走っているだけではマラソンの練習になっていないから。ーーマラソンは毎日走っても完走できない(小出義雄)
要するに、量(=距離)よりも質(=負荷)が重要ということだろう。
でも「量」も大事
一方で、距離が重要だという人もいる。五輪男子マラソンのカンボジア代表選手にも選ばれた猫ひろしさんは『猫ひろしのマラソン最速メソッド』の中で、月間走行距離を意識したトレーニングを行なっているという。
中島コーチからもサブスリーの目安として、月間500km以上走るように言われていました。オリンピック出場を目指している今は月間600kmくらい走っているので、毎日がハーフマラソンのような生活です。2時間台後半を目指す市民ランナーなら、月間500kmくらいで十分だと思います。ーー猫ひろしのマラソン最速メソッド(猫ひろし)
つまり、最低限の量(=距離)を担保しないと話にならないということだろう。
最低限必要な「量」とは?
ここで知りたいのは、その最低限の距離は何kmが目安になるかということ。できればマラソン完走タイム別に知りたい。
というわけで、今回はインターネットで入手可能な顧客調査データとビッグデータ解析のデータソースを参考に、マラソン目標タイムと月間走行距離の目安を導き出してみる。
顧客調査データによる分析

インターネットで有益なデータソースを2つ見つけた。
【1】ランナー世論調査2015
まずは、アールビーズ社が2015年に実施した「ランナー世論調査2015」。
調査対象は日本最大級のランニングポータルサイト「ランネット」のユーザ、調査人数は12100人、調査方法はインターネット。フルマラソンの自己ベストタイムでセグメント分けし、それぞれの月間走行距離と走行回数について質問している。
切り口としては良いが、走行距離と走行回数はレンジ(例:100km-109km)を選択するため平均値が出せない。ここではあくまでも「最低ライン」を知ることが目的なので、各セグメントの下位50%のサンプルのデータを参照することにした。
以下は男性(N=10214)のフルマラソン完走タイムと月間走行距離・回数。
完走タイム | 距離 | 回数 |
---|---|---|
〜3.0時間 | 250km | 20 |
3.0〜3.5時間 | 200km | 12 |
3.5〜4.0時間 | 140km | 12 |
4.0〜4.5時間 | 100km | 12 |
4.5〜5.0時間 | 100km | 4 |
5時間〜 | 60km | 4 |
以下は女性(N=1886)のフルマラソン完走タイムと月間走行距離・回数。
完走タイム | 距離 | 回数 |
---|---|---|
〜3.0時間 | 300km | 20 |
3.0〜3.5時間 | 250km | 12 |
3.5〜4.0時間 | 150km | 12 |
4.0〜4.5時間 | 100km | 12 |
4.5〜5.0時間 | 100km | 4 |
5時間〜 | 80km | 4 |
【2】ランナー調査研究レポート2015
もうひとつのデータソースは、京都マラソン実行委員会が2015年に実施した「ランナー 調査研究レポート」。調査対象は「京都マラソン2014」の参加ランナー、調査人数は4483人、調査方法はインターネット。
こちらも走行距離と走行回数はレンジを選択するため平均値が出せない。先ほどと同様に、各セグメントの下位50%のサンプルのデータを参照する。残念なことにサブ3とサブ4が同一セグメントに集約されているため、アールビーズ社の調査に比べると粒度が劣る。
以下は男女(N=4486)のフルマラソン完走タイムと月間走行距離・回数
完走タイム | 距離 | 回数 |
---|---|---|
〜4時間 | 100km | 11 |
4〜5時間 | 50km | 6 |
5時間〜 | 50km | 6 |
顧客調査データから分かったこと
ざっくりまとめると、以下のことが言える。
- サブ4.0は月間走行距離150km以上
- サブ3.5は月間走行距離200km以上
- サブ3.0は月間走行距離250km以上
特筆すべき点としては、サブ4.0→サブ3.5は「走行距離」をいかに増やすかが重要。一方でサブ3.5→サブ3.0は走行距離よりも「走行回数」をいかに増やすか(12回から20回)が重要になる。
ビッグデータ解析による分析

以上、顧客調査データから月間走行距離とマラソン完走タイムの関係について深掘りしてみたが、データの取り扱いには注意が必要。
これらの顧客調査データの弱点を挙げるとすれば、月間走行距離とマラソン完走タイムが直接的に紐づいていない点。
月間走行距離はあくまでも普段どれくらい走っているかの目安であり、完走タイムはフルマラソン自己ベストのタイム。つまり、月間〇〇km走ったから、フルマラソンが〇〇時間で完走できた、というデータではない。
ロンドンマラソン2016
その問題を解決してくれるのが、年間で10億以上ものアクティビティ・データを記録するStrava(ストラバ)。彼らの強みは、日々のトレーニングからレースまで、ランナー・アクティビティ単位でデータを持っていること。
特に参考になるのが「ロンドンマラソン2016」の完走者4000人のStravaデータを対象にしたビッグデータ解析。レース当日までの12週間の走行距離と走行回数を完走タイム別に分析している。
詳細は英ガーディアン紙の記事「What does it take to run a sub-3 marathon?」にまとまっている。
以下は男女(N=4000)のフルマラソン完走タイムと月間走行距離・回数・時間
完走タイム | 距離 | 回数 | 時間 |
---|---|---|---|
〜3時間 | 268km | 28 | 5時間22分 |
3〜4時間 | 172km | 16 | 3時間51分 |
4〜5時間 | 116km | 12 | 3時間0分 |
5時間〜 | 88km | 8 | 2時間30分 |
面白いことに、先ほどの顧客調査データから大きな乖離は見られない。
- サブ4.0は月間走行距離150km以上
- サブ3.0は月間走行距離250km以上
さらに、ここでもサブ4→サブ3までに「走行回数」での大きな飛躍が確認できた。
目安はサブ4が150km、サブ3が250km

以上、顧客調査データとビッグデータ解析を踏まえて、次のように結論づけたいと思う。
- サブ4.0は月間走行距離150km以上
- サブ3.5は月間走行距離200km以上
- サブ3.0は月間走行距離250km以上

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