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【メタスピードパリ レビュー】スカイかエッジか?選ばせるのは悪だと思う
今回紹介するのは2024年3月に発売されたメタスピードパリ」というランニングシューズ。Asics最高峰のマラソンシューズ「メタスピード」シリーズの3代目であり、ピッチ型の「エッジ」とストライド型の「スカイ」が選べます。マラソンブロガー的には両方買わないわけにはいかないので、1足に絞って欲しかったというのが率直な感想です。
目次と内容
- 主な特徴
- エッジパリは、ピッチ型
- スカイパリは、ストライド型
- サイズ感
- さらに軽くなった
- 新素材「FF TURBO PLUS」
- 通気性が良すぎて足元が寒い
- ファーストインプレッション
- 選ばせるのは悪だと思う
- 耐久性の定点観測
- 総合評価:普通に満足
主な特徴
Asicsのメタスピードパリ(Metaspeed Paris)シリーズは、2024年パリオリンピックに向けて発売されたマラソンシューズの最高峰モデルです。前作のメタスピードプラス(Metaspeed Plus)シリーズと同様に「エッジ」と「スカイ」の2種類から選べます。
メタスピード エッジパリ | メタスピード スカイパリ | メタスピード エッジプラス | メタスピード スカイプラス | |
---|---|---|---|---|
世代 | 第3世代 | 第2世代 | ||
発売 | 2024年3月 | 2022年6月 | ||
ソール | FF TURBO PLUS | FF BLAST TURBO | ||
アッパー | モーションラップアッパー2.0 | モーションラップアッパー | ||
アウトソール | ASICSGRIP | |||
重さ | 185g | 185g | 210g | 205g |
オフセット | 5mm | 5mm | 8mm | 5mm |
定価 | 27,500円 |

上段の赤いシューズが第3世代のエッジパリ(左)とスカイパリ(右)、下段の緑のシューズが前作第2世代のエッジプラス(左)とスカイプラス(右)です。「プラス」シリーズから「パリ」シリーズで進化したポイントは大きく2つあります。

まずミッドソール素材が「FF BLAST TURBO」から「FF TURBO PLUS」にアップデート。公式情報によると反発性が約8.2%向上し、約8%の軽量化と約6%のクッション性の向上に貢献しています。

アッパーの素材も改良され「モーションラップアッパー」から「モーションラップアッパー2.0」にアップデート。これにより通気性が約8%向上しています。
一方、価格は定価27,500円で据え置き。ここ数年インフレと円安の影響でランニングシューズの価格が高騰する中、フラグシップモデルの価格を変えなかったAsicsの企業努力は素晴らしいですね。
メタスピード3代目パリを注文。初代はスカイを所有、2代目プラスは両方所有して履き比べた結果、エッジ>スカイの評価でした。とりあえずアシックスの株主で良かった(優待で25%オフ) 😆 pic.twitter.com/9woqxVyUMx
— tomo. (@tomorunblog) March 11, 2024
とはいえマラソンブロガーとしては「エッジ」と「スカイ」の2足を購入しないといけないので、大きな出費であることに変わりありません(株主優待を使えたので助かりましたが)。
エッジパリは、ピッチ型
ここからは「メタスピードエッジパリ」を詳しく見ていきます。こちらはピッチを調節しながらストライドを伸ばし、少ない歩数でゴールできることを追求した「ピッチ型のランナー」に適したモデルとなります。

ミッドソールは「FF BLAST TURBO」を搭載し、間にカーボンプレートを挟んだ構造。路面に近い位置にカーボンプレートを配置することで足の回転を制御しやすくしています。前作「エッジプラス」より前足部の厚みが約3mm増え、より高い反発力が得られます。

アウトソールにはフォアフットと側面にのみASICSGRIPを配置。濡れたアスファルトの上でも強力なグリップ性能を発揮します。

アッパーには改良された「モーションラップアッパー2.0」を採用。メッシュの網の目が荒くて透けて見えますが、アンクルパッドは必要最低限のクッションを配置し足首を優しく固定しています。

上の写真は左が「エッジパリ」、右が「エッジプラス」ですが、前足部の厚みが3mm増えたことによりドロップが8mm(エッジプラス)から5mm(エッジパリ)に縮小しています。
スカイパリは、ストライド型
ここからは「メタスピードスカイパリ」を詳しく見ていきます。こちらはよりストライドを伸ばし、少ない歩数でゴールすることを追求した「ストライド型のランナー」に適したモデルとなります。

ミッドソールは「FF BLAST TURBO」を搭載し、間にカーボンプレートを挟んだ構造。カーボンプレートの下にあるフォーム材をより広い範囲で圧縮させることでさらなる反発を得られます。

アウトソールにはフォアフットと側面にのみASICSGRIPを配置。

アッパーには改良された「モーションラップアッパー2.0」を採用。アッパーの作りはエッジパリと大差ありません。

上の写真は左が「スカイパリ」、右が「スカイプラス」ですが、前足部の厚みは変わらないものの、横に広がりのある「スカイプラス」に比べて「スカイパリ」はよりスリムな形に仕上がっています。
サイズ感
「メタスピードパリ」シリーズのサイズ展開は次のとおり。男女共通のユニセックス仕様となり、幅広のワイドタイプは選べません。
- エッジパリ:22.5〜29.0cm、30.0cm
- スカイパリ:22.5〜29.0cm、30.0cm
自分の場合、ランニングシューズ選びではワイドタイプなら25.5cm、ノーマルタイプなら26.0cmがジャストフィットになることが多いです。今回は「エッジパリ」「スカイパリ」ともに26.0cmを選びました。

まず「エッジパリ」はつま先からカカトまで、すべてにおいてちょうど良いサイズ感でした。ワイドタイプではなくても幅の広い自分の足が窮屈に感じることはありません。前作「エッジプラス」も26.0cmでしたが、特に変化なしとい感じですね。

次に「スカイパリ」ですが、こちらもすべてにおいてちょうど良いサイズ感。前作「スカイプラス」も26.0cmでしたが、そちらは前足部の幅が広すぎて(大きすぎて)落ち着かない感じでしたが、スリム化された「スカイパリ」では足の収まりが改善しました。
さらに軽くなった
「メタスピードパリ」シリーズを履いて一番驚いたのは、その軽さですね。前作「メタスピードプラス」シリーズも十分軽く感じましたが、そこからさらに20g近く近くも減量しています。

26.0cmサイズの「エッジパリ」の重さは実測値で174g。

26.0cmサイズの「エッジスカイ」の重さは実測値で171gでした。
新素材「FF TURBO PLUS」

まだそこまで履き込んでいませんがアップデートされたミッドソール材「FF TURBO PLUS」は前作の「FF BLAST TURBO」に比べると柔らかさが増した印象を受けます。「メタスピードエッジ」では接地時の衝撃が脚にダイレクトに伝わってきましたが「メタスピードパリ」では衝撃吸収力が高まり、接地の感覚が薄れています。
長距離においては脚が疲れにくくなるメリットがある反面、これは好みが分かれるかもしれません。自分にとって足裏はセンサーであり、足裏を通して伝わってくる路面の「情報」を重視していますし、地に足をつけている「感覚」が好きだったりします。
通気性が良すぎて足元が寒い

アップデートされた「モーションラップアッパー2.0」は素晴らしいのひと言。アンクルパッドとヒールカップは必要最低限のクッションとプロテクションを配置して足首をしっかりと固定。それ以外のパーツは極限まで素材を減らして軽量化に貢献しています。
ただし「メタスピードプラス」シリーズのアッパーも十分優れており、メジャーアップデートと呼ぶに相応しい改良は感じられませんでした。唯一感じたのは通気性が高まったこと。冬だと逆に通気性が良すぎて足元が冷えました。マラソンシーズンは寒い季節なので、通気性が高ければ良いという訳ではないかと。
ファーストインプレッション
実際に「エッジパリ」と「スカイパリ」を履いて走ってみました。それぞれ2kmのジョギングと5kmのペース走(4:00/km)で使用します。

まず「エッジパリ」から。前作から前足部の厚みが3mm増えてドロップが「スカイパリ」と同じ5mmになりましたが、スペック以上の前傾を感じます。身体の重心を前に置くだけで足が前に出て、気づいたらロッキングチェアのように転がして走っているような感覚です。
クッションは柔らかく路面の感覚がぼんやりとしていますが、沈み込みによるエネルギーロスは感じず、気持ち良いレスポンスが得られます。

次に「スカイパリ」へ。前作の「スカイプラス」ではフォアフットの反発力が強すぎて、それが逆にブレーキをかけてしまい、自分には上手く履きこなせませんでした。それが新作の「スカイパリ」ではクッションが柔らかくなり、上手くハンドリングできるようになりました。
「エッジパリ」とは違って前に転がる感覚はなく、一歩一歩着実に足を踏み込んで走りたい人に向いていると思います。自分は初代の「メタスピードスカイ」も持っていますが、
選ばせるのは悪だと思う

前作の「メタスピードエッジ」シリーズが発売された時、Asicsが使っていたキャッチフレーズが「勝ち方は、ひとつだけか。」でした。あたかもピッチ型の「エッジ」とストライド型の「スカイ」から選べることがユニークセリングポイントのように聞こえます。
勝ち方は、ひとつだけか。
— ASICS Running JP (@ASICSRunningJP) September 22, 2022
METASPEED+
新色登場。
10.6 発売。#METASPEED+ #LiveUplifted pic.twitter.com/Fx49UgzXxw
実際に選べることでメリットを感じるランナーもいると思います。Asicsとしては、当時まだNikeの後塵を拝する状況にあり他社と差別化する切り口が欲しかったのかもしれませんし、「エッジかスカイか」の議論を巻き起こすマーケティング戦略を狙ったのかもしれません。ただし、自分のような市民ランナーからすると「選べる」のはデメリットの方が大きく感じます。
まず、実際に履き比べてみないと分からないこと。ランニングシューズの試着はただでさえ難しいのに、そこに倍の労力とコストがかかります。ちょっと試着したぐらいでは見極めるのが難しく、実際にはレースで履いてみないと判断できません。
次にしばらく使ってみて合わなかった時の落胆が激しいこと。これがワンモデルだったら「今回は自分には合わなかったんだな…」と諦めがつきますが、「もうひとつのを選べば良かったのかもしれない…」という感情が芽生えます。
その結果がこれ。家族にどーすんの?と言われつつも、この状況を密かに楽しんでいる自分がいるのも事実。
奥さん激おこ確定。このタコが!って絶対言われる pic.twitter.com/lyyGIUsiuO
— tomo. (@tomorunblog) March 14, 2024
行動心理学的にみても人間は間違った判断をするのを嫌う生き物。わざわざ選択肢を与えるのは、ユーザーエクスペリエンス的にイケてませんし、悪だと思います。「メタスピードプラス」シリーズの時も感じましたが、Asicsさんには最高の1足を選び抜いて欲しいですし、「勝ち方は、ひとつだけ」の方が買い手としては助かります。
耐久性の定点観測
ここでは、実際に「メタスピードパリ」を使い、耐久性をチェックしていきます。
スカイパリ30km


「行田市鉄剣マラソン2024」のハーフに投入しました。側面の塗装は脆いのかハゲてしまいましたが、クッション自体の損傷はほとんどありません。
エッジパリ30km


「軽井沢ハーフマラソン2024」のハーフに投入しました。スカイパリと同じく、側面の塗装はハゲてしまいましたが、こちらもクッション自体の損傷はほとんどなし。
総合評価:普通に満足
Asicsの「メタスピードパリ」シリーズを購入して普通に満足しています。前作から劇的に軽くなり、随所に改良を加えながらも価格は据え置き。本命レースに自信を持って投入できるシューズです。実戦でのレビューはまた後日アップデートします。
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購入ガイド

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