【レビュー】Asics メタスピードエッジトーキョー:履きこなすのが難しそう
2025年7月に発売されたAsicsの最速マラソンシューズ「メタスピードエッジTOKYO」を購入しました。サイズ感や履き心地、前作「エッジパリ」との違いなどを詳しく解説します。




- 選択肢が増えたメタスピード
- エッジトーキョーの特徴
- サイズとフィット感
- ファーストインプレッション
- レースでの使用感
- 耐久性と寿命
- エッジパリとの比較
- スカイ・レイとの比較
- 選ぶことによる心理的苦痛
- 評価まとめ
選択肢が増えたメタスピード
メタスピード(Metaspeed)は、トップアスリート向けに開発されたAsicsのランニングシューズの最高峰シリーズ。2021年に初代、2022年に2代目「プラス(+)」、2024年に3代目「パリ(Paris)」、そして2025年に4代目となる「トーキョー(Tokyo)」が発売されました。
メタスピードの最大の特徴は、ストライド型ランナー向けの「スカイ(Sky)」とピッチ型ランナー向けの「エッジ(Edge)」の2つのモデルを展開し、ランナーに選択肢を与えていること。さらに「トーキョー」では、軽量化された「レイ(Ray)」という3つ目モデルを追加しています。
自分は「メタスピード」との相性が非常に良く、これまでに以下のモデルを所有しています。マラソンブロガーという職業柄、スカイかエッジかの選択肢を与えられると、両方履きくらべないといけないような気がして、「プラス」と「パリ」は2モデルとも購入しました。
- メタスピードスカイ
- メタスピードスカイプラス、メタスピードエッジプラス
- メタスピードスカイパリ、メタスピードエッジパリ
奥さん激おこ確定。このタコが!って絶対言われる pic.twitter.com/lyyGIUsiuO
— ともらん! (@tomorunblog) March 14, 2024
ただ、実際にスカイとエッジを練習やレースで履き比べると、自分はエッジとの相性が良いことが分かりました。人生初のサブエガ(フルマラソン2時間50分切り)やさらなる記録更新を支えてくれたのはエッジの方。

というわけで、今回は履き比べをせず「メタスピードエッジトーキョー」一択で購入しました。
エッジトーキョーの特徴
それでは早速「メタスピードエッジトーキョー」を詳しく見ていきましょう。主な特徴は次のとおり。
- ピッチ型ランナーに適したモデル
- ミッドソールに「FF LEAP」と「FF TURBO PLUS」を採用
- カーボンプレートを内蔵
- アッパーはアップデートされた「MOTIONWRAP 3.0」
- アウトソールは「ASICSGRIP」
- 重量は170g(メンズ27cm)
- ドロップは5mm(前足部34.5mm/ヒール39.5mm)
- 定価は29,700円

ミッドソールは上層部に新設計の「FF LEAP」フォームを、下層部に「FF TURBO PLUS」を採用した二層構造。「FF LEAP」は「FF TURBO PLUS」に比べて、約15%軽量化し、13.7%反発性が向上し、30%クッション性が向上しています。そして2つのフォームの間にカーボンプレートを内蔵。スタックハイトは前足部が34.5mmでヒールが39.5mm、ドロップは5mmとなります。

アウトソールには薄くてグリップ性能に優れた「ASICSGRIP」を前足部の全面と前足部〜ヒールの外側を中心に配置しています。真ん中には、ほんの僅かに窪みがあります。

アッパーは通気性に優れたさ「MOTIONWRAP 3.0」を採用。アンクルパッドが簡素化され、アキレス腱周りのみクッションが強化されています。

重量はメンズ27.0cmの公式値が170g。今回購入した26.0cmの実測値は148gでした。ちなみに前作「エッジパリ」の26.0cmの実測値は174gでしたので、26gも軽量化されていました。
サイズとフィット感
自分の場合、ランニングシューズ選びではスタンダードタイプなら26.0cm、ワイドタイプなら25.5cmがジャストサイズになることが多いです。メタスピードはこれまで26.0cmを履いてきたので、今回も26.0cmを選びました。

実際に足を入れてみた感触としては、前作「エッジパリ」よりも細長になった印象です。特に土踏まず周りは、内側がインソールの外にはみ出てしまい、少し窮屈にすら感じます。前足部の幅はジャストサイズ。逆につま先はスペースに余裕を感じます。
ヒールの収まりは非常に良いですね。アンクルパッドは簡素化されて不安でしたが、アキレス腱をしっかり保護しつつ、ホールド感を高めています。
ファーストインプレッション
ここから実際に「メタスピードエッジトーキョー」をランニングで使用してみて、気づいた点を忖度なしでコメントしていきます。
弾むようなクッション

上層部の「FF LEAP」は柔らかく、下層部の「FF TURBO PLUS」は反発力が高く感じます。接地の際には、上層部が沈み込み衝撃を吸収しつつ、下層部が強力なエネルギーリターンで押し返すような感覚。全体的に弾むようなライド感が楽しめます。
ヒールストライクに最適

構造的に見ると、前足部は下層部が薄く、中足部〜ヒールにかけて下層部が厚くなっています。そのため、接地する場所によって感触が異なり、個人的にはフォアフットよりもヒールで着地した方が、エネルギーリターンを最大限生かせるように感じました。
安定感は悪くないけど…

前足部とヒール周りはソールの接地面積が広く、安定感が高く感じます。一方で中足部だけ幅をキュッと絞っているため、自分の場合は土踏まずがインソールの外にはみ出す形になってしまい、直立していると安定感に欠け、足がグラッとします。ランニング時にはミッドフットで着地しても不安定感はありませんが、体幹がしっかりしていないとブレそう。その意味では、履きこなすのが難しいシューズだなと思いました。
足首周りのホールド感は素晴らしい

アンクルパッドは軽量化・簡素化していますが、足首に隙間なくフィットして足をしっかり固定してくれます。激しい動きにも対応できますが、個人的にはシュータンにもう少し厚みがある方が良かった。シューレースをキツめに締めると足の甲周りに圧迫感を感じます。
レースでの使用感
「メタスピードエッジトーキョー」は5kmからフルマラソンの距離に適したモデル。後日、レースで使用してみた感想を更新します。
耐久性と寿命
こちらも定点観測していきます。
走行距離10km

とりあえずですが、10km履いた後の状態。ミッドソールは斜めに溝が入っていますが、シワは目立ちますね。

靴底の様子。ヒールストライクだとカカト周りにアウトソールがないので、すぐに消耗してしまいそうです。エッジは下層部に「FF TURBO PLUS」を使用しているのでまだ良い方ですが、スカイは柔らかい「FF Leap」が下に来るので耐久性が気になりますね。
エッジパリとの比較
参考までに前作とも比較してみましょう。右が前作「メタスピードエッジパリ」、左が新作「メタスピードエッジトーキョー」です。

ミッドソールが単体の「FF TURBO PLUS」から、「FF Leap」と「FF TURBO PLUS」の二層構造に変わったのが大きな違いですね。これにより「メタスピードエッジトーキョー」を履いていると、クッション性能の向上を実感します。ただし柔らかくなった反面、体幹をしっかり保たないとブレやすくなり、履きこなしの難易度は上がった気がしました。

アッパーに関しては「MOTIONWRAP 2.0」と「MOTIONWRAP 3.0」の違いは実感できませんでした。アンクルパッドは「メタスピードエッジトーキョー」で軽量化・簡素化されていますが、ホールド感が損なわれた感じはありません。

アウトソールは大差なし。ただし「メタスピードエッジトーキョー」は中足部の幅が広くなっていました。
基本スペックの比較は次のとおり。
メタスピード エッジトーキョー | メタスピード エッジパリ | メタスピード エッジプラス | |
---|---|---|---|
世代 | 第4世代 | 第3世代 | 第2世代 |
発売 | 2025年7月 | 2024年3月 | 2022年6月 |
ソール | FF Leap(上層部)、FF TURBO PLUS(下層部) | FF TURBO PLUS | FF BLAST TURBO |
アッパー | MOTIONWRAP 3.0 | MOTIONWRAP 2.0 | MOTIONWRAP |
アウトソール | ASICSGRIP | ASICSGRIP | ASICSGRIP |
重さ | 170g | 185g | 210g |
オフセット | 5mm | 5mm | 8mm |
定価 | 29,700円 | 27,500円 | 27,500円 |
スカイ・レイとの比較
また、自分は購入しませんでしたが「メタスピードスカイトーキョー」と「メタスピードレイ」とのスペックを比較してみましょう。
メタスピードエッジトーキョー | メタスピードスカイトーキョー | メタスピードレイ | |
---|---|---|---|
ミッドソール | FF Leap(上層部)、FF TURBO PLUS(下層部) | FF TURBO PLUS(上層部)、FF Leap(下層部) | FF Leap |
アッパー | MOTIONWRAP 3.0 | MOTIONWRAP 3.0 | MATRYX |
アウトソール | ASICSGRIP | ASICSGRIP | ASICSGRIP |
ドロップ | 5mm | 5mm | ? |
重量(27cm) | 170g | 170g | 129g |
定価 | 29,700円 | 29,700円 | 33,000円 |
スカイのミッドソールはエッジと同じ二層構造ですが、上層部と下層部に使われている素材が逆になっており、上層部に「FF TURBO PLUS」、下層部に「FF Leap」を配置しています。一方でレイは「FF Leap」のみ搭載。エッジやスカイでも十分軽いのに、レイの「129g」は驚異的な軽さですね。耐久性の高さが気になりますが。
選ぶことによる心理的苦痛
エッジかスカイか?自分に合ったモデルを選べるのは、一見するとカスタマーファーストに見えますが、実際には選択しないといけない心理的苦痛を与えている、というのが自分の考えです。
前モデルのレビューでも書きましたが、消費者に選ばせるのではなく、Asicsが1番良いと思うモデルに絞って販売して欲しい。それを履いてみて、合わないと感じたら諦めがつきます。でも選択肢があると、合わなかった場合に「もう一方にすれば良かったかな…」と後悔の念に駆られます。
そもそも、ストライド型とピッチ型のどちらが合うかなんて、市民ランナーに分かるものでしょうか?自分は正直、分かりません。過去に「プラス」と「パリ」で両方履き比べた結果、自己ベストが出たレースで「エッジ」を履いていた。だから自分には「エッジ」の方が合っているのかもしれない。そんなレベルです。
メタスピードが登場した当初、Asicsはトップアスリート向けランニングシューズでNikeに負けており、巻き返しには独自性が求められていました。そこで打ち出したのが「勝ち方は、ひとつだけか。」というキャッチコピー。「エッジとスカイが選べる」と「Nikeだけじゃない」という2つの意味を自分は読み取りました。
勝ち方は、ひとつだけか。
— ASICS Running JP (@ASICSRunningJP) September 22, 2022
METASPEED+
新色登場。
10.6 発売。#METASPEED+ #LiveUplifted pic.twitter.com/Fx49UgzXxw
あれから4年。Nike一強時代は終わり、Asicsもシェアを取れるようになった今、エッジとスカイをひとつに集約して欲しいというのが正直な感想。今回はレイという上位モデルが加わったので尚更です。
評価まとめ
以上、Asicsの「メタスピードエッジトーキョー」をレビューしました。良い点、気になる点は次のとおり。
良い点
- 軽くて弾むようなクッション
- 足首周りのホールド感が素晴らしい
気になる点
- エッジかスカイか選ぶのが苦痛
- 履きこなすのが難しそう
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